〜愛のベトナム支援隊〜 Love and Support Vietnam

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# 鈴木志郎さんご夫妻のサイゴン訪問

昨年12月。ベトナムへの出発準備で大忙しの日々が続いていました。

そこへ、東京の鈴木志郎さんという友人から、メールが入りました。合唱団
にも所属している底抜けに楽観的な明るい壮年です。

「月末29日に、夫婦でホーチミンに行くことになった。ついては、枯れ葉剤の人たちと少しでも交流できないものか・・・」という趣旨でした。実質3日、2泊の滞在だという。

鈴木志郎さんご夫妻は、車いすの生活です。いろいろと心配することがありました。「もっと早く言ってよ・・・」・・・口まで出ていました。

7000字の原稿の仕事を2種類抱えて、なおかつベトナム行きの東北学院大学の準備に忙殺されて、疲労も増して来ている時でした。この忙しさでどうしよう・・・受けるべきか断るべきか・・・私は、29日は、ハノイからシンガポールへの移動日。予定は組まれており変更は不可。100%ホーチミンに行けない・・・

しばし・・・思案しました。
「普段行けない自分に代わって、鈴木さんに行ってもらうことにしよう」

ホーチミンにいる旧知のYさんに、無理をお願いすることにしました。

Yさんから快諾がきました。「お手伝いさせていただきます。安心して下さい」
涙がでるほど心憎いばかりの文面でした。

まず、鈴木さんにご紹介するのは、この人しか無いと考えたのは、ホーチミン市11区に在住される元南ベトナム政府軍兵士で、枯れ葉剤を自ら撒いたことを告白したマイ・ザン・ヴーです。

Y
さんから「北村からのお願いだ」と伝えてもらって、ヴーさんに連絡をとってもらいました。北村のことをよく覚えていて下さっていました。「ぜひ鈴木さんにお会いしたい」との返事が、Yさん経由で届きました。

こうして、鈴木志郎さんご夫妻の、サイゴンでの初の枯れ葉剤被害者との交流が実現する運びになりました。

鈴木さんとヴーさんとの対話の場所に、サイゴン西部の元ゲリラ基地クチのトンネルが選ばれました。高齢になられたヴーさんに、ご長女ヴィーさんが同行してくれることになりました。

5年前のヴーさんとの語らいを、鈴木さんがつないで下さることになりました。

以下は、鈴木志郎さんの便りです。

こんにちは。ホーチミンの報告です。

30日の朝、私たちの滞在するホテルに
Yさん、ヴーさんとお嬢さんのヴィーさんが来られてました。
ヴーさんとお嬢さんは、8kmほど離れた自宅からバイクで来られました。

そして、Yさんが手配したタクシーで、クチへ行きました。


クチの解放戦線ゲリラ基地で 鈴木さん夫妻とヴーさん(右端)

クチのトンネル(の地域)は車イスで行くには全く不向きなところですが、
Yさんとヴィーさんに押してもらいながら見学ができました。

その後場所を変えて、食事をしたりお茶を飲んだりしながら、長い時間をYさんの通訳でヴーさんと話をすることができました。


ゲリラが出入りする穴の近くで

ヴーさんは戦後、枯れ葉剤問題の解決のための活動をされていますが、当時は知らされなかったとはいえ、自身が枯れ葉剤を撒く側だったこととか、子供を亡くされていることで、とても辛い思いをされたことと思います。

亡くなった子供さんの写真や、枯れ葉剤のことでパリに行かれたときの写真を見せていただきながら、いろいろお話を伺いました。

ただ、ヴーさんの心の中まではうかがい知る事ができませんでした。{中略)

亡くなった息子さんの写真を見て、筋ジストロフィーの症状にとてもよく似ていると思いました。

(中略)

私からは、「人には誰でも使命があって、自分には障害に負けなかったことを人に話していく使命がある。だから、ヴーさんにもきっと使命があると思う」、「病気になったり障害を持つことは不幸ではなく、病気や障害に負けることが不幸」、「肉親を亡くした後、残された私たちが元気に前を向いて行くことで、亡くなった人を安心させると思う」等々、話をさせていただきました。

キリスト教を信仰するヴーさんも、私の話しをわかってくれたようでした。

ヴーさん親子もYさんも、私たちに会えて本当に良かったと言ってくれました。

勇気とか希望とか、そんな事を感じていただければ幸いです。

ヴーさん親子にとっては、一日中家族以外の障害者と行動するのは初めてだったでしょうが(Yさんはまるで初めて)、いつもニコニコしている2人の障害者と一緒にいて驚いたことと思いますが。


鈴木さん ヴーさん母娘 Yさん

Yさんには、私から自身の体験の原稿や合唱団流星が載った新聞の切り抜きや、合唱団のDVDを持って行きました。

初めて自由グループ(障害者を中心としたグループ)のことを知ってもらいましたが、ベトナムにも来て欲しいと何度も言われました。

少しでも自由グループ員としての使命を果たせたようで良かったです。

数々の出会いがあり、ホーチミンがとても近くなりました。

幸子も皆さんとの出会いをとても喜んでいました。

ホーチミンの街を歩いて、障害者が暮らすには全く不向きなところだと思いました。人の手を借りればどうにでもなるのですが、40年くらい前の東京と同じレベルかも知れません。

物心両面で、障害を持った人も幸せに暮らせる国になって欲しいと思いました。

以上、ホーチミン滞在記でした。

私は、鈴木さんには、当分、ハノイには行かないでくださいと書きました。ははは、本心です。歩道は、バイク置き場と化したハノイに、障害者への配慮など微塵もありません。政治のひどさに、開いた口がふさがりません。

ハノイという大都市には、政治の瓦礫があちこちにあります。支援の私たちも、命がけの時があります。

ま、それはともかく、鈴木志郎さんご夫妻の束の間の、しかし、何かヴーさんの心に残したサイゴン滞在でした。

そして、Y さんからもメールが来ました。

当日、Vuさんの末の娘も同行しました。

彼は2007年、フランスでの枯れ葉剤国際会議に参加して、帰国後、倒れたそうです。

今は、毎日、針灸治療を受けていますが、病人の姿ではなく、普通に歩き、食べ、会話など、血色も悪くないです。

当日、Vu さんには大変喜んでいただき、又久しぶりに娘と遠いとろろへ行けたこともあってうれしかったようです。懇談の際、彼は「鈴木さんご夫妻の振る舞いを見て、感動し、自分はもっと積極的に生きなければならない」などといわれました。

Vuさんはキリスト教徒ですが、鈴木さんの激励の言葉なども理解できて、有意義な交流ができました。

「この地球上に戦争が無くなり、特に、枯葉剤の戦争は絶対に二度起らないように」・・これが彼の人生の念願だそうです。

                            愛のベトナム支援隊・北村 元
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